金曜日の夜の電車は、マジで酒臭い。
別に、酒が嫌いなわけではない。
僕だって飲む。
ビールも飲むし、仕事が終わったあとに飲む酒がうまいことも知っている。
一週間仕事を頑張って、金曜日の夜に同僚や友人と居酒屋へ行く。
「お疲れ!」
乾杯する。
いいじゃないか。
華金だ。
好きなだけ飲んでくれ。
僕は何も言わない。
ただ、一つだけお願いがある。
電車に乗ったら、
ちょっともう、口を開かないでくれ。頼む。
くさいのだ。
ものすごく、くさいのだ。
そして金曜日の夜は、電車に乗る前からすでにおかしい。
華金の駅は、すでに仕上がっている
仕事を終えて駅へ向かう。
疲れた。
早く家に帰りたい。
今日はもう何もしたくない。
電車に乗って、ぼーっとして、家に帰って、風呂に入って寝たい。
ただそれだけだ。
駅に入る。
改札を抜ける。
ここまでは普通だ。
階段を下りて、ホームへ向かう。
そこで気づく。
いる。
ベンチで寝ている人がいる。
まあ、これはまだいい。
疲れたんだろう。
終電近くなら、たまに見る。
少し歩く。
またいる。
今度はベンチではない。
床で寝ている。
おい。
そこはベッドじゃない。
家じゃない。
駅だ。
しかも、めちゃくちゃ気持ちよさそうに寝ている。
よく寝られるな。
電車の音。
アナウンス。
人の足音。
全部聞こえているはずなのに、熟睡している。
ある意味、尊敬する。
僕なんて枕がちょっと違うだけでも気になるのに。
この人は駅の床で寝ている。
人間の適応能力はすごい。
ただ、踏まれないでくれ。
そして、もう少し先へ歩く。
柱の近くで、一人の男性がうずくまっている。
なんだ。
靴紐でも結んでいるのか。
いや。
違う。
嫌な予感がする。
近づかない方がいい。
そして次の瞬間。
ゲロッピーしている。
うおおおお。
やめてくれ。
まだ電車に乗ってすらいない。
華金、開始数分でこれだ。
僕は静かに進路を変える。
金曜日の夜の駅では、前だけを見て歩いてはいけない。
右を見る。
左を見る。
そして、
下を見る。
足元確認。
大事だ。
スマホを見ながら歩いている場合ではない。
何が落ちているか分からない。
普段の駅では必要のない警戒心が、金曜日の夜だけ発動する。
なんだこれは。
駅に来ただけなのに、サバイバルが始まっている。
そして電車に乗る
ホームに電車が入ってくる。
よし。
帰ろう。
ドアが開く。
乗る。
金曜日の夜だから、それなりに混んでいる。
仕事帰りらしい人がたくさんいる。
スーツ姿の人。
スマホを見ている人。
イヤホンをしている人。
疲れた顔で座っている人。
いつもの夜の電車だ。
空いている場所を見つけて立つ。
ドアが閉まる。
電車が動き始める。
そのとき。
「それでさあ! 部長がさあ!」
でかい。
声がでかい。
なんだ。
少し離れたところに、数人のおっさんがいる。
顔が赤い。
非常に楽しそうだ。
「いや、それはないって!」
「そうなんだよ!」
「ガハハハハハ!」
楽しそうで何よりである。
きっと飲み会帰りなのだろう。
金曜日だ。
一週間頑張ったのだろう。
仕事の愚痴でも言いたくなる。
分かる。
分かるのだが。
「ガハハハハハ!」
大きく口が開いた。
その少しあと。
僕の鼻に何かが届いた。
酒だ。
ぐーおおおおお。
くせえええええええ。
なんだこれは。
とんでもなく酒臭い。
僕は何も飲んでいない。
なのに、酒の中にいる。
電車という逃げ場のない箱
よく考えたら、電車という乗り物はすごい。
大勢の知らない人間が、一つの箱の中に入って移動する。
しかも人との距離が近い。
朝の満員電車なんて、知らない人と肩が触れるくらい近い。
そんな空間で、みんなが呼吸をしている。
吸う。
吐く。
吸う。
吐く。
普段なら、人の呼吸なんて意識しない。
しかし金曜日の夜だけは違う。
酒を飲んだ人が息を吐く。
「はあ」
酒臭い。
別の人も息を吐く。
「はあ」
酒臭い。
さらに会話が始まる。
「それでさあ!」
酒臭い。
「マジで!?」
酒臭い。
「ガハハハハハ!」
大量放出。
おい。
ちょっと待ってくれ。
閉じられた空間に、酒臭い息がどんどん充満していく。
逃げ場がない。
窓を開けるわけにもいかない。
僕は心の中で願う。
ちょっともう、口を開かないでくれ。頼む。
喋るなとは言わない。
人間には会話する自由がある。
もちろん知っている。
でも今だけは。
あと数駅だけでいい。
黙っていてくれないだろうか。
部長の話は明日でもいい。
いや、明日は休みなのか。
だったら月曜日でいい。
部長はたぶん月曜日も会社にいる。
知らない田中さんの話を聞かされる
しかも酔っている人は、なぜあんなに声がでかいのだろう。
本人たちは普通に話しているつもりなのかもしれない。
でも、車両の端まで聞こえている。
「田中がさあ!」
田中。
誰だ。
僕は田中さんを知らない。
当然である。
知らない会社の知らない人だ。
しかし、声がでかいので話の内容が勝手に耳へ入ってくる。
どうやら田中さんは今日、何かを間違えたらしい。
「いや、あれはヤバいやろ!」
「俺もそう思った!」
「ガハハハハ!」
なるほど。
詳しくは知らないが、田中さんが何かをやらかしたことだけは分かった。
五分後。
僕はさらに詳しくなっていた。
田中さんは上司にも何か言われたらしい。
大丈夫だろうか。
月曜日、気まずくないだろうか。
……待て。
僕はなぜ、知らない会社の田中さんを心配しているんだ。
聞きたいわけではない。
聞こえるのだ。
ばかでかい声だから。
僕はただ静かに帰りたいだけなのに、突然知らない会社の人間関係に参加させられている。
耳から田中さん。
鼻から酒。
情報量が多い。
酒だけならまだよかった
そして、匂いは酒だけではない。
酒臭い息。
そこに口臭が混ざる。
さらに香水。
汗。
煙草を吸ってきた人からは、煙草の残り香まで漂ってくる。
待ってくれ。
混ぜるな。
一つずつでも十分に存在感がある。
酒だけでも強い。
香水だけでも強い。
煙草だけでも強い。
なぜ金曜日の夜、一つの車両に集結するんだ。
酒。
口臭。
香水。
汗。
煙草。
それぞれが独立していれば、まだ戦える。
しかし、全部が混ざる。
何の匂いなのか、もう分からない。
ただ一つ分かることがある。
くさい。
「ガハハハハハ!」
また口が開く。
ぐーおおおおお。
くせえええええええ。
もう笑わなくていい。
そんなに面白い話じゃない。
僕も聞いていたから知っている。
田中さんが仕事でミスした話だ。
そこまで笑う話ではない。
むしろ田中さんがかわいそうになってきた。
向こうは華金。こっちは明日も仕事だ
すると、こんな声が聞こえた。
「明日休みやし、もう一軒行く?」
そうか。
明日休みなのか。
いいな。
よかったな。
もう一軒行けばいい。
飲めばいい。
楽しんでくれ。
でも。
こっちは明日も仕事だ。
疲れてんだ。
金曜日の夜だからといって、全員が一週間の仕事を終えたわけではない。
土曜日も働く人はいる。
日曜日も働く人はいる。
シフト制で働いている人もいる。
今から仕事へ向かう人だっている。
金曜日。
華金。
一週間お疲れさまでした。
明日は休み。
それは一つの生活でしかない。
みんなが同じではない。
僕にとって金曜日は、ただの金曜日だ。
明日も仕事だ。
そんな僕の目の前で、
「ガハハハハハ!」
華金。
こっちは疲れている。
向こうは華金。
こっちは地獄だ。
だから、はしゃぐな。
……いや。
はしゃいでもいい。
楽しいんだろう。
それを邪魔したいわけではない。
ただ、
声量を半分にしてくれ。
できれば、口を開く角度も半分にしてほしい。
歓喜の換気の時間だ
やがて電車が駅へ近づいていく。
速度が落ちる。
僕は少し嬉しくなる。
駅に着く。
ドアが開く。
その瞬間。
外の空気が入ってくる。
歓喜の換気の時間だ。
うおおおおおお。
空気。
空気だ。
新鮮な空気が入ってくる。
ただの駅のホームの空気なのに、とんでもなくうまく感じる。
僕は吸う。
すうううううう。
うまい。
空気って、こんなにうまかったのか。
ありがとう。
駅。
ありがとう。
ホーム。
ありがとう。
ドア。
普段は何とも思わない電車のドアが、今日は神々しく見える。
もう、このまま開けて走ってくれてもいい。
今日だけは。
風が入ってきてもいい。
髪型なんてどうでもいい。
寒くてもいい。
僕が求めているものはただ一つ。
酸素だ。
しかし。
「ドアが閉まります。ご注意ください」
待て。
まだ閉めるな。
もう少しだけ。
あと三十秒。
いや、十秒でいい。
もう一回だけ深呼吸させてくれ。
そんな僕の願いなど知らず、ホームから新たな人たちが乗ってくる。
赤い顔。
数人のおっさん。
楽しそうだ。
なんだこれは。
正気か?
せっかく換気したのに。
酒臭い空気が外へ出たと思ったら、今度は酒臭さの発生源そのものが入ってきた。
増えた。
「いやー、飲んだなあ!」
見れば分かる。
言わなくても分かる。
顔を見る前に匂いで分かる。
そして無情にも、
「ドアが閉まります」
アナウンスが流れる。
僕にはこう聞こえた。
地獄へのレクイエムだ。
プシュー。
閉まった。
新しい酔客を乗せて。
地獄、再開。
とりあえず車両を変えよう
無理だ。
そうだ。
車両を変えよう。
なぜ今まで思いつかなかった。
たまたまこの車両に飲み会帰りの人が集中しているだけだ。
隣の車両なら静かなはずだ。
そうしよう。
次の駅。
ドアが開く。
僕はホームへ出る。
そして隣の車両へ移動する。
乗る。
静かだ。
いい。
こっちは大丈夫そうだ。
酒の匂いもさっきより薄い。
よし。
よしよし。
助かった。
これでようやく静かに帰れる。
僕は安心した。
安堵したのも束の間。
「いや、それで部長がさあ!」
ん?
聞き覚えのある種類の声がする。
奥を見る。
いた。
こっちにもいた。
数人いる。
顔が赤い。
しかも、こちらを向いている。
やめろ。
頼む。
口を開くな。
僕は心の中で祈る。
「ガハハハハハ!」
ぐーおおおおおお。
くせえええええええ。
なんでだ。
なんでこっちにもいるんだ。
逃げても逃げてもいる。
一両目。
いる。
二両目。
いる。
もう分かった。
車両の問題ではない。
金曜日そのものが酒臭い。
隣のお姉さんは嫌じゃないんだろうか
ふと隣を見る。
お姉さんがスマホを見ている。
真顔だ。
何事も起きていないような顔をしている。
僕は思う。
この人は嫌じゃないんだろうか。
臭くないのだろうか。
僕だけなのか。
「ガハハハハ!」
また酒臭い息が放出される。
くさい。
間違いなくくさい。
でも、お姉さんはスマホを見ている。
微動だにしない。
強い。
もしかすると毎週金曜日にこの環境を経験し、耐性を獲得したのだろうか。
進化したのか。
僕にもその能力を教えてほしい。
僕は鼻から酒臭さを感じ、耳から知らない人の会社の話を聞かされている。
お姉さんはスマホを見ている。
何を見ているのだろう。
猫の動画かもしれない。
ドラマかもしれない。
僕とは生きている世界が違う。
僕の世界には今、
酒と田中さんしかいない。
金曜日だけ洗濯バサミを持参しようか
何か対策はないのだろうか。
マスク。
金曜日だけマスクをする。
それなら多少マシかもしれない。
いや。
もっと強力な方法が必要だ。
考える。
そして、一つ思いついた。
洗濯バサミだ。
金曜日だけ洗濯バサミを持参する。
電車に乗った瞬間、鼻を洗濯バサミで挟む。
さらにその上からマスクをする。
完璧ではないか。
物理的に鼻を封鎖する。
これなら酒臭い息も、口臭も、香水も入ってこない。
素晴らしい。
……いや。
待て。
想像してみよう。
金曜日の夜の電車。
疲れた会社員。
スマホを見る人。
飲み会帰りの人。
その中に一人。
鼻を洗濯バサミで挟み、その上からマスクをしている男。
怖い。
圧倒的に怖い。
そんなやつが乗っている方が怖い。
もしかすると、酔っ払って騒いでいた人たちまで静かになるかもしれない。
「あいつ、なんや……」
僕を見る。
静かになる。
なるほど。
もしかすると洗濯バサミは臭いを防ぐ道具ではない。
僕自身が恐怖になるための道具なのかもしれない。
解決した。
いや。
何も解決していない。
僕はただ普通に家へ帰りたいだけなのだ。
無理だ。降りよう
もう無理だ。
車両を変えてもダメだった。
洗濯バサミを装着する勇気もない。
降りよう。
次の電車にしよう。
一本見送ればいい。
たまたまこの電車に酔っ払いが集中しているだけだ。
そうだ。
きっとそうだ。
次の駅で降りる。
ホームへ出る。
ドアが閉まる。
酒臭い電車が走り去っていく。
さようなら。
楽しんでくれ。
僕は次の電車で帰る。
ホームは静かだ。
空気も酒臭くない。
最高だ。
数分くらい待てばいい。
これで静かに帰れるなら安いものだ。
ただし、金曜日の夜のホームである。
油断してはいけない。
少し離れたところを見る。
ベンチで寝ている人がいる。
またいる。
さらに向こうでは、駅員さんが誰かに声をかけている。
起きない。
大変だ。
僕は静かに目を逸らす。
そして足元を確認する。
よし。
何もない。
金曜日の夜。
電車を降りても地獄は終わらない。
数分後。
次の電車がやってくる。
よし。
今度こそ。
電車が止まる。
ドアが開く。
車内を見る。
おっさんが満員だ。
なんだこれは。
正気か?
さっきより多い。
しかも、さっきより仕上がっている。
顔が赤い。
声がでかい。
楽しそうだ。
「もう一軒行く?」
「行こうや!」
「ガハハハハハ!」
僕は重大なことに気づいた。
金曜日の夜。
一本電車を見送る。
その数分間にも、街では酒が飲まれている。
一杯目だった人が二杯目を飲む。
二杯目だった人が三杯目を飲む。
一軒目にいた人が店を出る。
二軒目にいた人も駅へ向かう。
つまり。
時間を置けば、余計に仕上がった奴らが登場する。
完全に作戦を間違えた。
待てば改善すると思っていた。
逆だった。
金曜日の夜において、時間は僕の味方ではない。
酒と同じだ。
華金は、時間を置くほど熟成する。
まだ床で寝ているだけならいい
それでも、僕は思う。
酒臭い。
うるさい。
迷惑だ。
でも。
まだ、楽しそうに喋っているだけならいいのかもしれない。
まだ自分の足で立っている。
まだ自分で電車に乗れている。
駅の床で寝ている人を見る。
完全に仕上がっている。
駅員さんに起こされている。
それでも起きない。
どうやってここまで来たんだ。
家はどこなんだ。
そして、ホームの端でゲロッピーしている人。
大丈夫か。
水は飲め。
無理はするな。
そこまで飲まなくてもいいじゃないか。
華金だからって、限界まで飲む必要はない。
明日休みだからって、今日すべてを使い切らなくてもいい。
酒は楽しく飲むものではないのか。
床で寝て、駅員さんに起こされて、ホームで吐いて。
翌朝、頭が痛い。
財布を見る。
お金も減っている。
何をしているんだ。
……まあ、本人が楽しいならいい。
僕が決めることではない。
ただ。
ゲロッピーだけは踏ませないでくれ。
それだけは本当に頼む。
僕からの願いは、車両を分けてくれ
鉄道会社さん。
僕からの願いは一つしかない。
車両を分けてくれ。
酒を飲んでいない人専用車両を作ってくれ、なんて贅沢は言わない。
逆でいい。
酒を飲んだ人専用車両を作ってほしい。
金曜日の夜だけでいい。
飲んだ人は、全員そこへ乗ってもらおう。
まとめよう。
酒を飲んでるやつだけで詰め込んでくれ。
そこなら好きなだけ喋っていい。
「部長がさあ!」
やってくれ。
「田中がさあ!」
好きなだけ話してくれ。
「ガハハハハハ!」
思う存分笑ってくれ。
酒臭い息もそこで吐けばいい。
口臭も香水も煙草も、全部そこで混ぜてくれ。
好きなだけ華金を楽しんでくれ。
華金濃縮車両だ。
僕はその隣の車両で静かに帰る。
飲んだ人は楽しい。
飲んでいない人は静か。
誰も困らない。
素晴らしい。
僕は酒を飲むなと言いたいわけではない。
飲めばいい。
一週間頑張ったんだ。
好きな酒を飲んで、好きなものを食べて、仲間と笑えばいい。
華金だ。
楽しめばいい。
でも、その楽しさを車両全体に拡張しないでほしい。
明日も仕事の人はいるんだ。
疲れている人もいる。
静かに帰りたい人もいる。
知らない田中さんの話を聞きたくない人もいる。
向こうは華金。
こっちは明日も仕事。
それぞれでいいじゃないか。
だから頼む。
車両を分けてくれ。
華金の電車は地獄だ
ようやく最寄り駅に着いた。
ドアが開く。
僕は降りる。
ホームを歩く。
念のため、足元を見る。
大丈夫だ。
何もない。
改札を出る。
外へ出る。
夜の空気を吸う。
すううううう。
うまい。
ただの空気だ。
いつも吸っている空気だ。
それなのに今日は、とんでもなくうまい。
長い戦いだった。
駅の床で寝ている人を見た。
ゲロッピーしている人を避けた。
電車に乗れば酒臭い息に包囲された。
知らない会社の田中さんの事情を知った。
歓喜の換気を味わった。
その直後、新たなおっさんたちが乗ってきた。
車両を変えた。
そこにもいた。
一本電車を見送った。
さらに仕上がった人たちが現れた。
金曜日の夜。
華金の電車は地獄だ。
僕は家まで歩く。
静かだ。
誰も部長の話をしていない。
誰も田中さんの話をしていない。
誰もガハハハと笑っていない。
床で寝ている人もいない。
ゲロッピーしている人もいない。
空気も酒臭くない。
なんて快適なんだ。
家に着く。
靴を脱ぐ。
疲れた。
本当に疲れた。
明日も仕事だ。
冷蔵庫を開ける。
中を見る。
キンキンに冷えた缶ビールがある。
少し考える。
取り出す。
プシュッ。
いい音だ。
グラスなんて使わない。
そのまま飲む。
ゴクッ。
冷たい。
うまい。
もう一口。
うまい。
今日一日の疲れが、少しだけ抜けていく。
僕は思う。
やっぱり仕事終わりのビールは最高だ。
飲み終える。
缶を置く。
布団に入る。
目を閉じる。
明日も仕事だ。
明日も頑張ろう。
