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電話が嫌い。かかってくるだけでちょっと怖い。僕なりの対処法。

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目次

電話は、あまりにも突然すぎる

電話が嫌いだ。

LINEならいい。

メールもいい。

メッセージなら、だいたい何でもいい。

でも電話だけは苦手だ。

突然、

プルルルルルル。

と鳴る。

そして鳴った瞬間、こちらに選択を迫ってくる。

出るのか。

出ないのか。

今すぐ決めろ。

ずいぶん強引である。

LINEなら、

「時間があるときに見てください」

という顔をして、静かに待っていてくれる。

メールもそうだ。

僕が本を読んでいようが、ご飯を食べていようが、風呂に入っていようが、向こうは黙って待っている。

電話だけが違う。

「今です! 今すぐ私と会話してください!」

と鳴り響く。

こっちの都合に対する信頼が厚すぎる。

暇だと思うな。

こっちは忙しい。

本を読んでいるかもしれない。

文章を書いているかもしれない。

コーヒーを飲んでいるかもしれない。

何もせず、ぼーっとしているかもしれない。

最後のやつは暇じゃないかと思うかもしれない。

違う。

ぼーっとするのに忙しい。

せめて電話をかける前に、

「今から電話しようと思っていますが、ご都合いかがでしょうか」

と確認してほしい。

電話で。

……それも電話だった。

やっぱりLINEでお願いします。

知らない番号は、それだけでちょっと怖い

特に嫌なのが、知らない番号からの電話だ。

スマホの画面に、

「090-XXXX-XXXX」

と知らない数字が並ぶ。

ただ数字が表示されているだけなのに、一瞬で身構える。

誰だ。

何の用だ。

なぜ僕の番号を知っている。

そして、

なぜ今なんだ。

頭の中で緊急会議が始まる。

仕事関係か。

何か申し込んだっけ。

病院か。

宅配か。

営業か。

何かのトラブルか。

もしかして、すごく大事な電話なのか。

いや、でも知らない番号だ。

スマホは鳴り続けている。

僕は画面を見続けている。

電話に出ればすぐに正体がわかるのに、

絶対に出ない。

不思議な時間である。

鳴っている。

僕は見ている。

まだ鳴っている。

まだ見ている。

やがて切れる。

そこで僕は、ものすごい速さで電話番号を検索する。

電話には出ないのに、検索は早い。

「〇〇電力営業センター」

ほらな。

なぜか勝った気になる。

何に勝ったのかはわからない。

営業電話に出なかっただけである。

でも、ちょっと嬉しい。

たまに検索しても何も出てこない番号がある。

これが一番困る。

知らない番号。

検索結果なし。

誰なんだ、お前は。

正体不明のまま、僕の中でしばらく容疑者として生き続ける。

知っている人からの電話も、基本的に出ない

では、知っている人からの電話なら平気なのか。

そんなことはない。

むしろ普段LINEでやり取りしている人から突然電話が来ると、

「何かあった?」

となる。

着信画面に知っている名前が表示される。

それだけで少し怖い。

わざわざ電話してくるということは、何かある。

そう思ってしまう。

そして経験上、突然かかってくる電話というのは、僕にとってそれほど嬉しい内容ではないことが多い。

急なお願い。

予定の変更。

仕事の話。

相談。

確認。

何かの報告。

「今から遊ばん?」

それLINEでええやろ。

電話が鳴った瞬間、

「おめでとうございます。一億円差し上げます」

みたいな話だったことは、一度もない。

どうせ、ろくな内容ではない。

もちろん、電話してきた本人に悪気はない。

相手からすれば、普通に話した方が早いと思って電話しているだけかもしれない。

わかっている。

それでも僕からすると、

電話が鳴った時点で、すでにちょっとした事件なのである。

だから知らない番号には基本出ない。

そして、

知っている人にも基本出ない。

こう書くと、

「じゃあ誰の電話に出るんだ」

という疑問が出てくる。

もっともである。

僕も今、そう思った。

たぶん、

電話に出ない人なのだ。

必要ならあとで折り返せばいい。

急ぎならLINEが来るだろう。

そんな感じで生きている。

電話が鳴ると、手が止まる

僕が電話を嫌いなのは、怖いからだけではない。

もう一つ、大きな理由がある。

手が止まる。

これが嫌なのだ。

本を読んでいる。

電話が鳴る。

止まる。

文章を書いている。

電話が鳴る。

止まる。

料理をしている。

電話が鳴る。

止まる。

何もしていない。

電話が鳴る。

何もしていないことが止まる。

これは困る。

LINEなら違う。

通知が来ても、今やっていることを続けられる。

本を一段落まで読んでから見ればいい。

文章を書き終えてから返せばいい。

ご飯を食べ終えてからでもいい。

一時間後でもいい。

極端な話、明日でもいい。

もちろん急ぎなら別だけれど、基本的には、

こちらが返事をする時間を決められる。

電話には、それがない。

電話が鳴った瞬間、

相手の時間と僕の時間が強制的につながる。

こっちが何をしているのかは関係ない。

「はい、今からあなたの時間に入ります」

そんな宣言とともに鳴り始める。

電話は、こちらの生活にノックしているようで、

すでに片足くらい入っている。

インターホンと少し似ている。

まだ許可していないのに、もう落ち着かない。

しかも電話を切ったあとも厄介だ。

文章を書いている途中だったとする。

電話が鳴る。

話す。

切る。

パソコンを見る。

「……何書こうとしてたっけ」

消えている。

さっきまで頭の中にいた文章が、電話の向こうへ連れていかれている。

返してほしい。

職場の電話なんか、もっと最悪だ

そして、電話嫌いにとってさらに厄介なのが、

職場の電話である。

自分のスマホなら、最悪出なければいい。

知らない番号。

出ない。

知っている人。

出ない。

僕には、

「出ない」という最強の対処法がある。

ところが職場では、そうはいかない。

電話が鳴る。

誰か出るだろう。

鳴っている。

まだ誰も出ない。

鳴っている。

周りを見る。

なんとなく、みんな電話から目をそらしている。

全員、同じことを考えている。

「誰か出ろ。」

もちろん僕も、その「誰か」の中に自分を含めていない。

できれば電話の近くにいる人に出てほしい。

僕より三十センチでも近ければ、その人に電話対応の神から使命が与えられていると思っている。

しかし誰も出ない。

鳴り続ける。

仕方なく取る。

「お電話ありがとうございます。〇〇でございます」

ここからが怖い。

相手が誰なのかわからない。

何を言われるのかもわからない。

自分にわかる内容なのかもわからない。

電話一本取っただけなのに、

突然、何も知らないクイズ番組に出場させられる。

「先日お願いしていた〇〇の件なんですが」

知らない。

先日、僕はいなかった。

「〇〇さん、いらっしゃいますか?」

いるかもしれない。

いないかもしれない。

ちょっと待ってくれ。

「担当の方に代わっていただけますか?」

まず担当の方が誰なのかを教えてくれ。

知らない問題が、次々と出題される。

しかも制限時間つき。

沈黙すると気まずい。

電話の向こうでは相手が待っている。

こっちは必死で情報を探す。

電話を肩と耳で挟みながら、パソコンを見る。

周りを見る。

誰か助けてくれ。

みんな仕事をしている。

さっきまで「誰か出ろ」と思っていた人たちが、

今度は完全に他人の顔をしている。

相手の名前が聞き取れない地獄

職場の電話でもう一つ怖いのが、

相手の名前が聞き取れないときだ。

「株式会社〇〇の△△と申します」

聞こえない。

会社名も名前も、両方ぼんやりしている。

でも、

「いつもお世話になっております」

と言う。

たぶん初めましてである。

職場の電話には、こういう謎の儀式がある。

一回聞き取れなかったので、

「恐れ入ります。もう一度お名前をお願いできますでしょうか」

と聞く。

相手がもう一度言う。

聞き取れない。

ここから急激に難易度が上がる。

一回目なら聞ける。

二回目も、まあ聞ける。

問題は三回目だ。

三回目になると、

「お前はここまで何を聞いていたんだ」

と思われそうで怖い。

もちろん実際には、もう一度聞けばいい。

わかっている。

でもなぜか聞きづらい。

だから二回目で、

「〇〇様ですね」

と、それっぽい音で賭けに出る。

違ったら終わりである。

電話対応では、ときどき人はギャンブラーになる。

そしてなんとか電話を終える。

受話器を置く。

一仕事終えた気分になる。

そこで思う。

「……何してたっけ」

仕事の電話に出たせいで、仕事を忘れている。

仕事をするために電話に出たのに、仕事が止まった。

なかなか高度なシステムである。

私用電話には、

出ない自由がある。

職場の電話には、それがない。

電話嫌いにとって、この差は大きい。

電話は、考える時間まで奪ってくる

もう一つ僕が電話を苦手な理由がある。

電話では、

すぐに返事をしなければならない。

たとえばLINEで、

「来週の日曜日、空いてる?」

と来たとする。

カレンダーを見る。

予定を確認する。

ちょっと考える。

行きたいかどうかも考える。

返事を書く。

一度消す。

もう一度書く。

「空いてるよ」

送信。

平和である。

電話の場合。

「来週の日曜空いてる?」

「えっ、あー……たぶん」

たぶんって何だ。

自分の予定なのに、自信がない。

電話では沈黙が怖い。

相手が待っている。

何か言わなければならない。

その結果、自分でもまだ決めていないことを、口が勝手に決める。

「じゃあ19時くらいで」

「あ、うん」

電話を切る。

数秒後。

なんで「うん」って言った?

もう予定が完成している。

文章なら、一度書いた言葉を消せる。

「行ける」と書いて、

やっぱり予定を確認して、

消して、

「ちょっと確認する」

に変えられる。

電話は消せない。

口から出た瞬間、送信完了。

人間版Enterキーである。

たぶん僕は、会話そのものが嫌なのではない。

「今すぐ反応しなければならない」

という電話の仕組みが苦手なのだと思う。

僕なりの対処法は、基本的に出ないこと

では、そんな僕は電話嫌いをどう克服したのか。

克服していない。

以上。

……では記事が終わってしまうので、僕なりの対処法を書く。

まず、

基本的に出ない。

対処法と呼んでいいのかわからない。

「電話嫌い 克服」

などと検索してこの記事にたどり着いた人には申し訳ない。

克服していない。

避けている。

知らない番号からかかってきたら、基本的には出ない。

切れたあとで番号を確認する。

留守電が入っていれば聞く。

必要そうなら折り返す。

もちろん、病院から連絡が来る予定があるとか、宅配を待っているとか、仕事上の連絡があるとか、そういうときは別だ。

電話に出ないという強い思想を持っているわけではない。

必要なら出る。

でも、

「鳴ったから」という理由だけでは出ない。

電話は鳴るものだ。

僕には出ない自由もある。

知っている人からの電話も同じだ。

基本的には出ない。

急ぎならもう一度かかってくるだろう。

あるいはLINEが来る。

「電話出て」

ここまで来たら、僕も思う。

なるほど。電話か。

覚悟を決める。

電話一本に覚悟が必要なのもどうかと思う。

電話じゃなくていいものは、電話じゃなくていい

親しい人には、

「急ぎじゃなかったらLINEで送って」

と言ってしまってもいいと思う。

電話嫌いを無理やり克服するより、

電話が来る回数を減らした方が早い。

僕はこの考え方が好きだ。

苦手なものを全部克服しなくてもいい。

もちろん仕事など、避けられない電話はある。

それは仕方がない。

必要な電話には対応する。

でも、日常の連絡まで全部電話である必要はない。

今はLINEがある。

メールがある。

チャットもある。

連絡手段はいくらでもある。

だったら、自分が楽な方法を選んでもいい。

「電話が苦手だから、電話に慣れなければ」

と思わなくてもいい。

必要なところだけ使えれば、それで十分だと思っている。

そもそも連絡とは、

相手に情報が伝われば目的達成である。

LINEで済むならLINEでいい。

「明日19時ね」

この六文字くらいの内容を伝えるために、

「もしもし」

から始めなくてもいい。

電話嫌いは、直さなくても生きていける

電話が嫌いだ。

突然鳴る。

ちょっと怖い。

手が止まる。

考える時間がなくなる。

職場では、知らないクイズ番組まで始まる。

そして経験上、電話の向こう側に僕を待っているのは、

だいたい、それほど嬉しくない用件だ。

でも別に、電話そのものが悪いわけではない。

電話の方が早い場面もある。

緊急時には便利だ。

文章では伝えにくいこともある。

電話が好きな人は、電話を使えばいい。

僕は、できれば使いたくない。

それだけだ。

苦手なものを全部好きになる必要はない。

便利なものを全部使いこなす必要もない。

必要なときだけ使って、それ以外は自分の楽な方法を選ぶ。

僕にとっては、そのくらいがちょうどいい。

今日もスマホが鳴る。

画面を見る。

知っている人だ。

僕はじっと見つめる。

鳴っている。

まだ鳴っている。

僕もまだ見ている。

やがて止まる。

静かになった。

数秒後。

LINEが来る。

「なんで出えへんの?」

僕は返す。

「どうしたん?」

返事が来る。

「明日って暇?」

僕は思う。

最初からこれでよかった。

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