LINEが嫌いだ。
いや、正確には、LINEでのやり取りが嫌いだ。
もっと正確に言えば、用件もないのにLINEを送ってくる人が苦手なのだ。
スマホが鳴る。
通知を見る。
「元気?」
……。
あああああああああああああああ。
来てしまった。
ついに来てしまった。
何が来たのか。
仕事である。
いや、仕事ではない。
友人からの、たった三文字のメッセージだ。
しかし、僕にとっては仕事と変わらない。
なぜなら、返信しなければならないからだ。
「元気やで!」
たったこれだけ返せばいい。
所要時間は、おそらく10秒もかからない。
それなのに、面倒くさい。
とてつもなく面倒くさい。
だから、とりあえずスマホを置く。
あとで返そう。
そう思って、本を読み始める。
しかし、しばらくすると頭の中に浮かんでくる。
「あ、LINE返さな」
もう一度、本を読む。
「あ、そういえばLINE」
ご飯を食べる。
「まだ返してないな」
布団に入る。
「明日返そう」
翌日。
「ああ、昨日のLINE返さな……」
昨日の仕事が、今日の仕事になっただけではないか。
しかも、返信したところで終わるとは限らない。
「元気やで!」
「よかった!最近どう?」
……。
新しい仕事を発注するな。
僕には他にもやることがある。
読みたい本がある。
書きたい文章がある。
やりたいことが山ほどある。
なのに、なぜ突然、他人から新しいタスクを渡されなければならないのだろう。
しかも、給料は出ない。
勤務時間も決まっていない。
いつ終わるのかも分からない。
僕はLINEの従業員ではない。
今回は、そんな僕がLINEを苦手だと感じる理由、LINEをやりたくない人の心理、そして実際に行き着いた対処法について考えてみたい。
ちなみに、現在の僕のLINEには、母親と公式アカウントからしかほとんど連絡が来ない。
これが、驚くほど快適なのである。
LINEが苦手・嫌いな理由5つ
LINEは便利なアプリだ。
無料でメッセージを送れる。
写真も送れる。
通話もできる。
グループで連絡を共有することもできる。
素晴らしい。
便利なことは認める。
しかし、便利だからといって、好きになるとは限らない。
僕には、LINEを嫌いになるだけの理由がある。
① 返信が「絶対に消化しなければならないタスク」になるから
これが一番大きい。
LINEが届く。
その瞬間、僕の中に新しいタスクが発生する。
「返信する」
誰にも頼んでいない。
自分で予定に入れたわけでもない。
それなのに、勝手にやることが増える。
僕には、もともとやりたいことが山ほどある。
本を読みたい。
文章を書きたい。
映画も観たい。
何も考えずに、ぼんやり過ごしたい日だってある。
そこに突然、LINEが届く。
「今日何してた?」
お前に報告する予定は入っていない。
もちろん、相手に悪気はない。
ただ話しかけてくれているだけだ。
それは分かる。
しかし、こちらからすれば、自分がやりたいこととは別の用事が増えてしまう。
しかも、厄介なのは、返信すれば終わるとは限らないことだ。
「今日何してた?」
「本読んでた!」
「何の本?」
「小説!」
「面白い?」
「面白いで!」
「どんな話?」
もう本を読ませてくれ。
一つのタスクを処理すると、次のタスクが届く。
次を処理すると、また届く。
普通、仕事は片づければ減っていく。
しかし、LINEは違う。
片づければ片づけるほど、仕事が増えることがある。
これはどういう仕組みなのだろう。
終わりのない業務である。
しかも無給。
休日出勤もある。
深夜勤務もある。
何なら、寝る直前まで仕事が発生する。
僕はいつから、こんな会社に入社したのだろう。
雇用契約書を見せてほしい。
② 返信しなくても、ずっと頭の中に残るから
「嫌なら、あとで返信すればいいじゃん」
そう思う人もいるだろう。
しかし、僕にとっては、それが解決にならない。
LINEが届く。
通知を見る。
あとで返そうと思う。
それで終わればいい。
ところが、終わらない。
返信していないLINEが、ずっと頭の片隅に残っているのだ。
本を読んでいても思い出す。
ご飯を食べていても思い出す。
記事を書いていても思い出す。
「あ、LINE返さな」
お前、いつまで俺の頭の中におるねん。
スマホは机の上に置いてある。
通知音も鳴っていない。
それなのに、頭の中では何度も通知が鳴る。
恐ろしい。
スマホの通知をオフにしても、脳内通知はオフにならない。
しかも、返信するのに必要な時間は、たった数十秒かもしれない。
それなのに、何時間も気にしてしまう。
返信する時間より、返信しなければと思っている時間の方が長い。
これが本当に嫌なのだ。
そして、翌日になっても同じである。
「明日返せばいい」
そう思って寝る。
翌朝。
「ああ、LINE返さな……」
タスクが翌日に持ち越されただけではないか。
しかも、昨日より返信しにくくなっている。
「昨日返せなくてごめん!」
という一文まで追加しなければならない気がする。
仕事が増えた。
何もしていないのに、仕事が増えた。
さらに二日、三日と経過すると、今度は返信が遅れた理由まで考え始める。
忙しかったことにするか。
通知に気づかなかったことにするか。
体調が悪かったことにするか。
たった三文字の「元気?」から、なぜこんな大仕事になっているんだ。
返信しないことが、返信すること以上の負担になる。
だからこそ、最初から届いてほしくないのである。
③ 会話の終わりが見えないから
僕は、終わりの見えないLINEが苦手だ。
例えば、こんな連絡ならいい。
「明日、あの資料持ってきて」
「了解!」
終わり。
素晴らしい。
目的がある。
必要な情報がある。
終了地点がある。
ところが、雑談は違う。
「最近どう?」
「元気やで!」
「そうなんや!仕事は?」
「ぼちぼち!」
「休みの日は何してるん?」
何問用意してるねん。
こちらは何も悪いことをしていない。
なのに、取り調べを受けているような気分になってくる。
しかも、相手は会話を楽しんでいる。
だから、どんどん質問してくる。
こちらが返事をすれば、さらに話が続く。
終わりが見えない。
では、こちらから会話を終わらせればいいのではないか。
そう思うだろう。
「じゃあ、またね!」
「うん!またね!😊」
……。
これは返信するべきなのか。
既読だけで終わらせていいのか。
スタンプを送った方がいいのか。
もしスタンプを送ったら、またスタンプが返ってくるのではないか。
誰か終了の合図を出してくれ。
LINEには、明確な終業時間がない。
会話が止まったと思っても、数時間後にまた返信が来る。
翌日になってから返事が来ることもある。
ようやく終わったと思ったのに、突然続編が始まる。
頼んでいないのに、シーズン2が配信される。
僕はもう最終回を見届けたつもりだった。
エンドロールも流れた。
拍手までした。
それなのに、次回予告が始まったのである。
いつまで続くのだろう。
これなら、最初から始まらない方がいい。
④ 既読や返信のタイミングを気にするから
LINEには既読機能がある。
メッセージを開くと、相手に読んだことが伝わる。
便利な機能なのだろう。
しかし、僕はこれも面倒だと思う。
読んだ。
それだけだ。
なのに、既読がつくと、返信を求められているような気がする。
「既読ついてるのに、なんで返さないの?」
読んだことと、返信することは別だろう。
本だって、読んだら必ず感想文を書かなければならないわけではない。
新聞だって、読んだら編集部に返事を送るわけではない。
なぜLINEだけ、読んだあとに仕事が発生するのだろう。
しかも、返信する文章にも気を遣う。
「了解」
これだけだと冷たいだろうか。
「了解!」
感嘆符をつけるべきか。
「了解😊」
絵文字も必要か。
「了解!ありがとう😊✨」
いや、そこまで盛る必要があるのか。
たった二文字の返事に、なぜ装飾工事をしているんだ。
そして、ようやく返信する。
すると、すぐに既読がつく。
次の返事が来る。
お前、待機してたんか。
こちらは一つの仕事を終えたつもりなのに、相手は次の仕事を準備していた。
なんて恐ろしい連携プレーなのだろう。
⑤ グループLINEはさらに面倒だから
個人のLINEだけでも面倒なのに、グループLINEとなれば、さらに大変である。
誰かがメッセージを送る。
別の誰かが返信する。
また別の誰かがスタンプを送る。
通知が鳴る。
また鳴る。
さらに鳴る。
気づけば未読が63件。
何事だ。
緊急事態でも発生したのだろうか。
慌てて開いてみる。
「了解!」
「ありがとう!」
「よろしく!」
「はーい!」
「😊」
「👍」
63件も必要やったか?
しかも、グループLINEには独特の空気がある。
誰かが返信すると、自分も何か返した方がいい気がする。
全員が「了解」と言っている。
自分だけ何も言わないのは、まずいのだろうか。
しかし、同じことを何度も繰り返す必要があるのか。
「了解」が15個並んでいる。
もう十分了解してるやろ。
さらに、グループから抜けようとすると、なぜか大事件になる場合がある。
「○○が退出しました」
わざわざ表示される。
静かに去りたいだけなのに、退場アナウンスが流れるのだ。
卒業式か。
別に誰かが嫌いなわけではない。
通知が面倒なだけだ。
それなのに、人間関係の問題になってしまうこともある。
LINEというものは、なかなか自由にさせてくれない。
LINEが嫌いな人の心理とは?
では、なぜ僕はここまでLINEが嫌いなのだろう。
考えてみると、単純に返信が面倒というだけではない気がする。
もっと根本的な理由がある。
自分の時間を他人に使われたくない
僕には、やりたいことがたくさんある。
本を読む。
文章を書く。
映画を観る。
考え事をする。
何もしない時間を楽しむ。
そういう時間が好きなのだ。
だから、LINEが届くと、自分の時間に突然別の予定が割り込んできたように感じる。
「今何してる?」
本を読んでいる。
「何の本?」
小説だ。
「面白い?」
面白い。
「どんな話?」
だから、その本を読ませてくれ。
もちろん、相手に悪気はない。
むしろ、興味を持ってくれているのかもしれない。
しかし、僕にとっては、そのやり取りをする時間より、本を読む時間の方が大切な場合がある。
そして、これは忙しいときだけの話ではない。
仮に何もしていなくても同じだ。
ソファに寝転んでいる。
天井を見ている。
ぼんやりしている。
だからといって、誰かとLINEしたいわけではない。
僕の暇は、お前の予約可能時間ではない。
何もしていない時間も、僕の時間なのである。
人間関係を管理することが負担になる
人間関係そのものが嫌いなのか。
そう聞かれたら、必ずしもそうではない。
直接会って話すのは楽しいこともある。
誰かと笑い合う時間もいい。
しかし、会っていない時間まで、ずっとつながっていたいとは思わない。
会って話す。
楽しかった。
また会う機会があれば話す。
それでいい。
ところがLINEを交換すると、会っていない時間にも会話が始まる。
相手の近況を聞く。
自分の近況を伝える。
返信する。
また返信する。
人間関係を楽しみたいのであって、人間関係を管理する仕事がしたいわけではない。
僕は、友達の人数を増やすことにも、それほど興味がない。
ましてや、LINEのトーク一覧を賑やかにしたいとも思わない。
静かな方がいい。
自分の時間を、自分で使える方がいい。
必要な連絡だけで十分だと思っている
誤解してほしくないのだが、僕はLINEというアプリ自体を完全に否定しているわけではない。
必要な連絡には便利だと思う。
「明日、あの資料持ってきて」
「集合時間が変更になりました」
「今日の予定は中止です」
こういう連絡ならいい。
用件がある。
必要な情報がある。
確認すれば終わる。
僕が苦手なのは、そこから雑談が始まることなのだ。
「明日、資料持ってきて」
「了解!」
「ありがとう!そういえば最近どう?」
そういえば、じゃないねん。
終わったやろ。
今、業務終了のチャイムが鳴ったやろ。
なぜ、再び始めるんだ。
僕はLINEを、連絡事項を伝えるための道具として使いたい。
いつでも誰かと会話するための場所にはしたくないのである。
そもそもLINEを交換したくない
そして、ここまでLINEが苦手になると、当然こうなる。
「LINE交換しよう!」
「いや、いいわ」
交換する前から断りたくなる。
なぜなら、交換した先の未来が見えているからだ。
LINEを交換する。
数日後、メッセージが届く。
「元気?」
返信する。
「元気やで!」
また返事が来る。
「最近どう?」
まだ交換してないのに、もう面倒くさい。
未来のタスクが見えているのだ。
しかも、LINE交換という行為は、妙に当たり前のように行われる。
少し仲良くなる。
「LINE交換しよう!」
一緒に仕事をする。
「LINE交換しよう!」
久しぶりに会う。
「LINE交換しよう!」
なぜだ。
なぜ、そんなに交換したいのだ。
ポケモンカードでもあるまいし。
僕のLINEをコレクションするな。
もちろん、必要な連絡があるなら分かる。
しかし、特に用件がないのなら、交換しなくてもいいのではないだろうか。
連絡先を知らなくても、仲良くできる。
会ったときに話せばいい。
むしろ、僕はそのくらいの距離感が心地いい。
それなのに、LINEを交換しないと言うと、少し変わった人のように見られることがある。
「え、なんで?」
「LINEやってないの?」
「交換するだけやん!」
そう。
交換するだけ。
しかし、僕にとっては違う。
交換した瞬間、将来の仕事の受注窓口が開設されるのだ。
そんな窓口は、できるだけ少なくしておきたい。
LINEが苦手な人におすすめの対処法
では、LINEが苦手な場合、どうすればいいのだろう。
「返信を早くする」
「文章を短くする」
「スタンプを活用する」
そういう方法もあるだろう。
しかし、僕の場合は少し違う。
返信する技術を磨きたいわけではない。
そもそも返信するという仕事を減らしたいのだ。
そこで、いくつかの対処法を考えてみた。
① LINEを交換しない
最も簡単で、最も根本的な方法である。
最初から交換しない。
これなら、新しいLINEが届くこともない。
「LINE交換しよう!」
「ごめん、LINEは必要な連絡にしか使ってないねん」
これでいい。
もちろん、仕事などで必要な場合は別だ。
しかし、特に必要がないのなら、無理に交換することはないと思う。
タスクを減らしたいなら、まず新規受注を停止する。
② 通知をオフにする
通知が鳴るたびに集中が途切れるなら、通知をオフにするのも一つの方法だ。
これなら、少なくとも突然スマホに呼び出されることは減る。
ただし、僕の場合は、これだけでは解決しない。
一度メッセージを見てしまえば、頭の中に残るからだ。
通知をオフにしても、
「あ、LINE返さな」
という考えは消えない。
スマホは静かになったのに、頭の中がうるさい。
だから、通知オフは予防策であって、根本的な解決とは限らない。
③ 必要のないLINEは無視する
これも一つの選択肢だ。
「明日、資料持ってきて」
これは確認する。
「最近どう?」
これは、必ずしも返さなくていい。
相手がメッセージを送るのは自由だ。
しかし、こちらがすべてに返信しなければならないわけではない。
もちろん、約束や重要な連絡を無視すれば、相手に迷惑がかかることもある。
そこは区別したい。
ただ、用件のない雑談まで、毎回引き受ける必要はないと思う。
LINEの通知は、業務命令ではない。
④ 無視して、トークを削除する
そして、僕が考える最終手段がこれだ。
無視する。
そして、トークを削除する。
なかったことにする。
通知が来る。
「元気?」
見る。
返信したくない。
でも、このままだと未処理のタスクが残る。
そこで、トークを削除する。
画面から消える。
未読も見えない。
証拠隠滅である。
もちろん、トークを削除したところで、相手の送信履歴まで消えるわけではない。
必要な情報も失われる可能性があるので、何でも消せばいいという話ではない。
しかし、用件のない雑談を終わらせたいとき、僕にとっては一つの方法になる。
そして、もし後日、相手に聞かれたらどうするのか。
「この前LINE送ったんやけど?」
「あれー? 届いてないかも」
「え? 送ったで?」
「ほんま? おかしいなあ」
おかしいのは僕である。
自分で消した。
間違いなく消した。
しかし、そんなことは表情に出さない。
「なんか不具合かなあ」
ついに通信障害の可能性まで示唆し始める。
ただLINEを返したくなかっただけなのに、通信会社まで巻き込もうとしている。
我ながら、ひどい話である。
もちろん、これは僕の冗談交じりの最終手段だ。
本来は、返信しない方針を伝える方が誤解は少ない。
しかし、そもそもその説明をすることすら面倒なのである。
説明するためのLINEが、また一つのタスクになるではないか。
⑤ 返信しないことを、自分の義務違反だと思わない
結局、一番大切なのはこれかもしれない。
LINEが届いた。
だから返信しなければならない。
僕はずっと、そう感じていた。
しかし、考えてみれば不思議な話だ。
相手が勝手に送ってきたメッセージなのに、なぜ僕の中で義務が発生するのだろう。
必要な連絡なら、もちろん対応する。
しかし、すべての雑談に付き合う義務があるわけではない。
返信したいときは返信する。
返信したくないときは、無理に返信しない。
それでいいはずだ。
勝手に届いた仕事を、勝手に自分の義務にしない。
これができれば、LINEとの付き合い方も少し変わると思う。
LINEを無視し続けた結果、どうなったのか
さて。
ここまでLINEが嫌いな理由と対処法を語ってきた。
では、実際に僕はどうなったのか。
結論から言おう。
LINEがほとんど来なくなった。
以前は、友人や知人から連絡が来ることもあった。
しかし、僕は返信することが面倒だった。
だから、返信しないことが増えた。
一度無視する。
すると、相手も察するのだろう。
次のLINEが来なくなる。
また別の人からLINEが来る。
無視する。
その人からも、あまり来なくなる。
そうしているうちに、少しずつ通知が減っていった。
そして現在。
僕のLINEに届くのは、母親と公式LINEからの連絡くらいである。
見事なまでの静寂だ。
「最近どう?」
来ない。
「今何してる?」
来ない。
「暇?」
来ない。
「今日めっちゃ疲れた」
来ない。
素晴らしい。
驚くほど快適なのだ。
未読がたまらない。
返信を考えなくていい。
翌日に持ち越すタスクもない。
誰かからの返事を待つ必要もない。
何より、頭の中が静かになった。
本を読んでいるときは、本のことだけを考えられる。
文章を書いているときは、文章に集中できる。
何もしていないときは、何もしない時間を楽しめる。
何も届かないことが、こんなにも幸せだったとは。
もちろん、LINEを返さなくなったことで、距離ができた人もいるだろう。
相手に寂しい思いをさせた可能性もある。
それは分かる。
しかし、僕自身は今の状態を不便だと思っていない。
むしろ、自分に合った距離感になったと感じている。
誰かとつながっていることが、必ずしも幸せとは限らない。
連絡が多いことが、人間関係の豊かさを表しているとも限らない。
僕にとっては、誰からも連絡が来ない時間が、とても大切なのだ。
返信を求めてこない友達が欲しい
とはいえ、僕だって友達がまったく必要ないと言っているわけではない。
理想の友達について考えてみた。
すると、一つの答えにたどり着いた。
返信を求めてこない友達が欲しい。
例えば、
「今日、ラーメン食べた!」
そうなんや。
「めっちゃ美味しかった!」
よかったな。
「明日から旅行行ってくる!」
気をつけてな。
全部、心の中で返事する。
相手は一方的に近況を報告する。
僕は好きなときに読む。
返信はしない。
それでも、相手は怒らない。
催促もしない。
既読無視だとも思わない。
翌日になっても、普通に連絡してくる。
なんて素晴らしい友人関係なのだろう。
ただ、一つ問題がある。
その友達は、僕とLINEして楽しいのだろうか。
相手が一方的に話す。
僕は何も返さない。
会話は成立していない。
しかし、僕は快適だ。
これは友人関係と呼べるのだろうか。
そんなことを考えていたときだった。
スマホに通知が届いた。
「今週のおすすめ商品はこちら!」
公式LINEである。
僕は通知を開いた。
新商品の写真が表示されている。
なるほど。
美味しそうだ。
もちろん、返信する必要はない。
既読無視しても怒られない。
翌日になっても、何も言われない。
それでも、また新しいお知らせが届く。
……。
いた。
僕の理想の友達は、すでにLINEの中にいた。
しかも、向こうは僕のことを友達だと思っていない。
ただの顧客である。
なんて一方通行な友情なのだろう。
まとめ|LINEが嫌いでも、無理にやり取りする必要はない
LINEが苦手な人にも、いろいろな理由があると思う。
返信する文章を考えるのが面倒な人。
既読を気にしてしまう人。
通知が苦手な人。
人間関係に疲れてしまう人。
そして、僕のように、LINEを受け取った瞬間、新しいタスクが発生したように感じる人。
どれも、本人にとっては切実な問題だ。
もちろん、LINEでの会話が好きな人もいる。
友人との雑談が楽しい人もいる。
毎日誰かと連絡を取り合うことで、安心できる人もいるだろう。
それはそれでいい。
ただ、全員が同じようにLINEを楽しめるわけではない。
僕は、必要な連絡ができれば十分だ。
用件があるなら送ってほしい。
でも、特に用件がないのなら、無理に会話を始めなくてもいい。
なぜなら、僕には僕の生活があるからだ。
読みたい本がある。
書きたい文章がある。
やりたいことが山ほどある。
そして、何もしない時間だって大切にしたい。
僕の人生のToDoリストを、勝手に編集しないでほしい。
LINEが届いたら、必ず返信しなければならない。
以前の僕は、そんなふうに感じていた。
だから、通知が来るたびに面倒だった。
返信しなくても気になる。
返信したら、また返事が来る。
翌日に持ち越しても、やっぱり面倒くさい。
受け取ったら最後。
終わりのない仕事が始まる。
しかし、今は違う。
僕のLINEは静かだ。
母親と公式アカウントから、たまに連絡が届くくらいである。
これが驚くほど快適なのだ。
寂しいとは思わない。
むしろ、ようやく自分の時間を取り戻したような気がする。
僕が欲しかったのは、誰かからの連絡ではなかった。誰からも連絡が来ない自由だったのだ。
さて。
今日もスマホは静かである。
通知はない。
未読もない。
返信する仕事もない。
なんて平和な一日なのだろう。
そのときだった。
ピコン。
スマホが鳴った。
……。
「本日限定!全品20%OFF!」
公式LINEである。
僕は静かに画面を閉じた。
やっぱり、こいつとは友達でいられそうだ。
